投稿日:2022年10月17日 最終更新日:2023年2月27日 記事制作:奥本 光城
世の中にはいろいろと便利なものがあります。興味の向くまま、さまざまな知識を学びたい。
被写体への光のあて方、スタジオ機材、ポージング、表情の作り方、カメラアングルなどさまざまな要因の大切さがわかります。
その上、立体物や小物を自由にサイズ変更したり設置したりして空間を創造できます。
set.a.light 3D V2.5.8 studioでできること
このソフトで扱えるのは、様々な背景と選べるモデルさん、ストロボ機材とカメラのレンズといったところでしょうか。 様々な項目を設定変更することで、撮りたいイメージのライティングシュミレーションをすることが可能です。 ストロボに関して言えば、ビューティーディッシュやソフトボックス、アンブレラなどの光質の違うアクセサリーの使用が可能です。
日本語対応はしていませんが、英語で充分使えます。価格は時期によりますがざっくり200ドル前後。 マイナーチェンジでのアップデートには無料で対応してるようです。 最初に導入した時よりもできることが増えました。例えば表情が調整できたり、鏡が使えるようになったり、定常光のライトが増えたりしました。
私がこのソフトを使う時、最初に設定するのは撮影スペースの広さ。そして使える背景やシチュエーションを考慮してモデルの立ち位置を決定します。その後ライティングツールを配置して写真の撮り方を確認していきます。
set.a.light 3Dの公式ホームページはこちらです。
お試しダウンロードができるので、ちょっと触ってみて下さい。
本当のストロボライトセッティングとの違い
ストロボのライトは瞬間光です。 ぱっと一瞬まぶしい光なので、かなり慣れないと見た目でストロボの強さを判定する事は不可能です。 それを保存するためにストロボメーター、フラッシュメーターを使用します。そこには絞り値、F値が表示されます。 ISO感度とシャッタースピードを設定した後、 モデルさんの位置(被写体の位置)で測定します。 例えばカメラの設定絞り値をF8にするとき、測定値がF11だと一段分(カメラ用語ですが結構差がでます)明るくなります。 その測定値をもとにストロボの位置を遠くしたり方向を変えたりします。
シュミレーターと実際の撮影での大きな違いはそこです。慣れれば、平気です。一段がどれくらいの差なのか、F4がどれくらいの明るさなのか露出系の表示と写真の写り具合を確認する必要があります。カメラの設定は、ISO100(シャッタースピード1/60、F11)にします。
露出系がF11を示す光をストロボで作った時、私の目では、気持ちちょっと暗く感じます。
そして一段光を暗くするという意味は、カメラの設定は変えないで、ストロボの光量を1/2に変えることです。かなり暗くなったように感じます。このくらいの光でF8の光というふうに覚えておきます。メインライトはこのあたりからもうちょっと弱いくらいに調整して、フロントの光をプラスして適正になるようにします。
なので実際にはその間1/3、1/6ステップでの調整が必要になります。実際には本体のダイヤル調整や距離を変更して再度露出計で測り、光の量はF8、コンマ6とかコンマ7とか1/3とか2/3とか言ってました。もう一段落とすとかなり暗くなりますが、大事な光に違いはありません。
F5.6の光の量はこんな感じです。フィルム時代には撮像ラチチュードが広かったのですが今はデジタル時代。ちょっとコンパクト、光の強さの差があまりつかないようにラチチュード狭めを想定したライティングが必要です。フロントライトならこの辺りより弱めにします。
そうしてメインライトとフロントライトを足すと被写体の前の光が出来上がります。
そしてそこにスカイライトを足して、バックライトを足します。
最終的に一段明る目にするためにカメラの設定をF11からF8に変更しても、各灯のバランスは変わらないのでいい写真が撮れます。そして重要なのはデジタルカメラの場合は、すこし暗めに撮影しておいてRAW現像の時に強調したい部分を明るく持ち上げて印象的になるようにします。最初から明るく撮っておくより、少し暗めでライティングが強調されている写真データーを良しとします。
実際にシュミレーションしてみる
例:幅2メートル、奥行き3メートルのスペースで人物の撮影をしたい。半身でもいいけど、出来たら全身も撮りたい。可能でしょうか?イメージは雰囲気のある写真。30代女性のブログ紹介用です。
思いの他狭いです。幅が取れないのでスタンドの足が開ききれなかったりします。写真は撮影とレタッチで作り上げていくものなのですが、限られたスペースとツールで最大限の努力をします。
絞りはF8です。ここまでセッティングをして撮ってみて暗いと感じてもあとはレタッチでなんとかなります。ここで重要なのはそれぞれのライトの役割。被写体の立体感の為のメインライトや色を出したり、キャッチライトやつなぎとしての役割のフロントライト、髪や肩筋を背景から分離させるトップライトの三灯を使っています。
set.a.light 3Dの公式ホームページはこちらです。
元ストロボメーカーの営業だった私がset a light 3Dをおすすめする理由
このソフトを使うことでイメージの確認ができます。 今回幅2メートル、奥行き3メートルで人物の全身まで撮れたらいいなという期待のままシュミレートを始めました。が結果的には上半身しか取れませんでした。狭いと背景紙の大きさも小さくなり、ライトを設置するスタンドのポールや脚などが写り込むので、カメラの広角レンズを使えば解決できるわけではありません。そんな体験ができるソフトです。
有名な先生方のセミナーがあれば参加して、勉強して、情報を持ち帰って自分の機材や撮影スペースに落とし込んでシュミレーションできるのが唯一無二のこのソフトウエァです。自分で選択してライティングを組み立てていく練習ができるのです。
写真の構図とか、逆光の写真とか思う存分テストができます。
ソフトボックスなどのライティングツールは高価なものが多いので購入前の確認にいいでしょう。何より自分の撮影スタイルの探求に最適です。もしも本格的にストロボライティングをしたいと思うなら1番最初に導入してもいいソフトです。お店での撮影スタッフ教育用にも適しています。
知識があるから使ってみるのか、ないから使ってみるのか。学べることの多いソフトです。
投稿者プロフィール
- 写真好きカメラ業界経験30年。カメラ店勤務からグリラーメーカー、そして国産ストロボメーカー、アルバム製造機材販売専門商社を経て、株式会社フォトサリュを設立。ネット活用を映像と想像力で構築し生成AiやNFT制作、動画編集にも着手。様々な方法を融合して個人のブランディングをお手伝いいたします。