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ストロボライティングの基本テクニック:効果的な使い方

By奥本 光城

2月 20, 2023

投稿日:2023年2月20日 最終更新日:2024年4月5日 記事制作:奥本 光城

コメットの元地区担当営業マンだった私が知っている、ストロボライトの基本的な使い方や設定方法、効果的なライティングのポイントについて詳しく解説します。また、撮影の目的に応じて、どのようなライティングが適しているかについても「set a light 3D」というストロボ写真シュミレーションを使って考察します。

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set.a.light 3D - for Photographers

ストロボライトとは何か?

・ストロボライトとは何か、どのようなメリットがあるのかについて解説します。

ストロボライティングは「光でハイライトを描くこと」です。

被写体の魅力を表現するために光と影を作り出すことで、2次元上に3次元的立体感を再現することが可能になります。

コンパクトカメラや、スマホでの撮影と決定的に違うのは、

カメラの設定でストロボを使わなければ真っ黒、真っ暗になってしまう状況から作画していくことです。

順番にご説明します。

光がない状態で被写体をマニュアル設定で撮影すると、真っ暗闇、真っ黒の写真になります。

カメラの設定例:ISO感度:100 シャッタースピード1/125 絞りF11 色温度6000K(ケルビン)

写真の撮影シュミレーターは「set a light 3D」を使っています。こちらの写真撮影が勉強できるソフトウエアの公式ホームページはこちらです。

また、ソフトウエアのご紹介をしている私のページです。選べるBasicとStudioの違いとかできることとかご紹介しています。

上記のようにカメラを設定して写真撮影をしてみます。真っ暗になります。この写真をみて、室内灯や窓からの光が写真に影響していないか確認します。

例えば室内灯のスイッチが入っている場合、次のような写真になることがあります。

天井面のシーリングライトなどの影響が写真にどう影響するか確認するために、事前にストロボを使わないで一度撮影することをお勧めします。

その後、必要であれば消灯し、気にならない程度ならそれを補う形でのライティングを組み立てるといいでしょう。

強いスポットライトなど、後からのライティングでは補えない場合はお願いして照明を消してもらいます。

次の2点に注意します。

色被り(いろかぶり)、とハイライトが足される点です。

シュミレーションではほとんど変わりがありませんでしたが、毎回撮影場所により異なります。

故に、ノンフラッシュで撮影してみて確認することが重要です。

この状態、真っ暗な状態で被写体に光をあてて像を記録します。

向かって右からライトを当てると右が明るくなります。

向かって左から当てると左が明るくなります。

ストロボライトの設定方法と基本的な使い方

  • ストロボライトの設定方法と基本的な使い方について解説します。ストロボライトの光量や光の向き、調光などの設定についても触れます。

業務用ストロボの出力はW/s(ワットセカンド)を使います。通常、モノブロックタイプのストロボなら400W/sくらいが標準です。この数字が半分になると1段分暗く表現されます。1段分は、カメラをマニュアル設定にして風景撮影をした写真で、そのまま絞りを一段(例えばF11からF22)で画面が暗くなるくらいの範囲です。

電源部と灯具が離れているジェネレータータイプなら2灯や3灯使えるタイプで1200W/sや2400W/s、3200W/sなどあります。同じ位置からの照射なら、数が2倍で1絞り分明るくなります。

例えば人物撮影のとき、同じ出力の2灯をフロント、メインで使うと被写体との距離の関係でちょうどよくなったりします。

フロントライトとメインライトは同じ光量です。

距離が3倍なら光の量は面で考えるので1/9になります。2乗分の1になります。

メインライトは次のようになります。

メインライトは光と影を被写体を中心に作ります。その影が強くなりすぎないようにするのと、発色をよくするためにフロントライトを使います。

基本になるのはこの2灯です。背景をもっと明るくしたいなら背景用のストロボを追加しますし、アクセントを入れたい場合にもライトを追加します。

ストロボライトを使ったライティングのポイント

  • ストロボライトを使ったライティングのポイントについて解説します。明るさの調整や光の向き、距離感の表現など、効果的なライティングに必要な要素について解説します。

ストロボライティングに特徴を与えるのは、「光量」と「光質」「方向」のコントロールです。

「光量」

ストロボ自体のコンデンサーと、発光管で決まる商品のスペックです。モノブロックなら一般的には400W/sか300W/s、200W/sから選ぶことになります。ジェネレレータータイプなら、1200W/sや2400W/sを1灯や2灯、3灯など分配して出力調整をしながら撮影します。数字が2倍になると明るさが1段分変化します。1/2なら1段分暗くなります。

「光質」

被写体に光があたると影を作ります。その影の出方で晴れた日の太陽の影のような「硬い影」のでる状況の光を「硬い光」といいます。曇り空の影がくっきり出ない状況の光を「柔らかい光」といいます。どちらがいいか悪いかではなく、表現したい方法として活用します。光質をコントロールするには光面の大きさが重要です。光っている面が大きいほど、柔らかい影になります。ダイレクト光を壁や天井にバウンスさせるバウンス光はその意味で柔らかい光を作ります。傘の内面に反射させる、アンブレラライティング。ボックスの中での内反射や半透明の中間、前面ディフューザーを通した光を使うソフトボックス。ソフトボックスにはサイズの違いや、長方形や長細いサイズがあります。他には、トレーシングペーパー越しの光を使うこともできます。

硬い光の発色はよく、柔らかい光の発色はあまり良くありません。曇りの日より、晴れている硬い太陽の光の下では花の色が綺麗です。曇りの日のお花の色は、ちょっと控えめです。

「方向」

バンクや傘の方向で明るい部分と、暗い部分を作ることができます。ダイレクト光でリフレクターを使っている場合でも、蜂の巣構造のグリッドというアクセサリーを使うことで照射角度を狭めることができます。どんな色でも、光をたくさん当てると色は薄くなって最終的には白になります。色合いを思い通りに表現するには、光の方向をコントロールして、色の表現を極める必要があります。

ストロボライトを使ったポートレート撮影のテクニック

  • ストロボライトを使ったポートレート撮影のテクニックについて解説します。モデルとのコミュニケーションやポージング、ストロボライトの設定など、ポートレート撮影でのストロボライティングのポイントについて解説します。

ポートレート写真で重要なライトはメインライトです。読んで字の如くメインのライトです。基本的なメインライトの役割は、被写体を立体的に見せること。レンブラントライティングという名前でも有名なライティングです。バンクを左右どちらかに45度、上方に45度に置きます。モデルさんが正面を向いているなら、花の影が下方45度に綺麗にでます。もう一つ加えるなら被写体に近い方が柔らかい光になります。光源は大きい方が柔らかいので、離れて行けば行くほど小さく点光源化していくからです。

近い場合は次の感じの写真です。鼻の斜め左下の影も柔らかい感じです。もっというと、バンクの中心は芯といってライトの一番強い部分があります。その部分の光を被写体の遠くの片筋に当てるようなライティングをすると、距離の関係がうまく作用して均一にライトを当てることができます。これをフェザーリングと言います。

それでは、フェザーリングしてみます。結果は微妙ですが、効果的なので考え方は覚えておきましょう。

離すと次のような感じです。離した分光の量も必要になりますが、影も濃くなります。夏っぽい季節感を出すにはライトを遠ざけることに意味が見出せます。

ストロボライトを使った商品撮影のテクニック

  • ストロボライトを使った商品撮影のテクニックについて解説します。商品の種類や撮影する環境に応じて、どのようなストロボライティングが適しているのかについて解説します。

商品撮影にとってのメインライトは、上からの光です。カメラポジションによって、上からの光は変わりますが、いつも意識をしておきたい商品撮影のコツです。

斜め45度の光を作ったポートレートのライティングとは違います。

ベースの光を作ってからのライティングになります。

必要なら、物理的なスモークなどを使ったり、後処理で合成したりしてイメージを膨らませます。

左右のライティングをプラスすると次のようになります。

基本的には均一で、色表現のいい正確な写真が求められます。その上で、デジタル加工したり、撮影時の工夫が必要かもしれません。さまざまなネット上の素材を利用したり、AIで作った画像から煙を取り出して合成することも可能なのです。

ストロボライトを使った風景撮影のテクニック

  • ストロボライトを使った風景撮影のテクニックについて解説します。風景の種類や撮影する環境に応じて、どのようなストロボライティングが適しているのかについて解説します。

1つ目の撮影方法は被写体に注目させるためのストロボ利用です。

風景撮影にストロボを使ったシーンでは、全体の露出(明るさ)を暗めにして、被写体には光をあてて綺麗に描写するシーンが使えます。特に、ウエディングでのローケーションフォトでは使えるテクニックです。

2つ目の撮影方法は、影の部分を補助して写し込む為のストロボ理由です。

野に咲く花も、影に存在する被写体もストロボで色を出しながら綺麗に撮影することが可能になります。自然界では影の部分と日向の部分を同時に撮影して記録することはできません。太陽光は強いので影の部分にストロボをあてる必要があります。あてなければ黒く表現されるだけです。日中にストロボを使う理由は、この差を補うためのストロボ利用です。

ストロボライトのトラブルシューティング

  • ストロボライトを使っていると、さまざまなトラブルが起こることがあります。ストロボライトのトラブルを解決する方法について解説します。

・シャッタースピードの注意点

シャッタースピードを早くしすぎると、シャッター幕によってのケラれが生じる場合があります。特に室外では、環境光が強いので自動的にシャッタスピードが早くなります。シャッター幕は先幕が先に動いてから後幕が追いかけるスリット状での撮影になります。シャッタースピードが遅ければ、先幕が動いて全部開き切ってからストロボが発光して、後幕がしまっていく。シャッタスピードが速い場合は、開き切る前にストロボが発行されるので下半分が暗いといった写真になるのです。ハイスピードシンクロモードにすると、連続で発光するのでスリットでの露光に対応できるのです。もしも、高速でシャッターを切るような屋外でのストロボ撮影なら、ハイスピードシンクロ対応のストロボを購入します。スタジオで使う業務用ストロボにはない機能です。

・中古ストロボの購入時の注意

発光管内の気体はガスがゲッターと呼ばれるシルバーに見える部分が溶け出しています。何を意味しているかというと、たくさん発光するかショックを与えすぎて漏れ出した管では、発光しないことがあるということ。プロの現場はプロ並みの発光回数の場合があります。発光管の付け根の部分(電極)周辺をしっかりみてから購入したいですね。黒くなってたり、白くなってたりしない、シルバーが綺麗に見える発光管は長持ちします。

・本体から変な匂いがする。

この場合はすぐに使用を中止してください。メーカーにて確認してもらう必要があります。

・久しぶりに使う

コンデンサーに電気が長い間通ってない場合は(6ヶ月でもあり得る)、電源を入れて低出力から時間をかけて充電状態(電気をつけっぱなし)の時間を長くします。発光は決してしてはいけません。徐々に出力を上げていきながら様子をみます。発光させたい気持ちは抑えて、低出力、中出力、高出力と数時間ずつ時間をかけて慣らしていきまあす。コメットの営業時代、これをエージングと呼んでいました。店舗の移設など、灯具を外して保管していた場合、絶対に連続で発光させることなく、じっと時間をかけて通電しないとコンデンサーが破裂することがあります。また、必ずコンセントは抜いておいてください。壁面に専用のスイッチがあっても、片切りスイッチは危険性があります。全切りスイッチを作ってもらうように、電気屋さんにはお願いする決まりになってました。

set a light 3D Basic or Studio

私は、今まで写真業界にずっと身を置いてきました。最初の15年を街のカメラ店でその後の10年をストロボメーカーであるコメット株式会社で営業や業務を経験してきました。自分が今まで経験してきたことを、目にみえる形で表現したいと考えたときに『se a light 3D」というソフトに出会いました。ドイツの会社が作った、素晴らしいソフトで、更新頻度も申し分ありません。無料で15日間、クレジットカード情報を入れなくてもWindowsとMacで使えるダウンロードが可能です。年に何回かはセールもしています。BasicはStudioの約半額です。その季節の価格や、更新情報などを紹介しているページも作っています。初めはBasicで手軽に始めて、灯具が多く使えたり、定常光が使えたり、たくさんのカメラを設置できたり、壮大な空間にデザインできたりするStudioにアップグレードすることも可能です。トータルで4ユーロくらいの差額なので、すごく損をするようなことはありません。公式サイトはこちらからご覧いただけます。

室外でのストロボを使用した作品作成

室外でのストロボ利用例

外光のない室内でのストロボ撮影について説明してきましたが外での撮影にストロボを使うことでの表現もあります。ストロボは瞬間光なので動きを止めることも可能です。また、背景の露出を下げて暗く写しストロボ光の届く被写体をドラマティックに写し込むことも可能です。

この日は曇っていたので、普通に見上げて撮影すると背景が白くなり視線が誘導されてしまうことを極力避けるためにストロボを使いました。200mmのF2.8レンズを使いましたのでシャッタースピードが早くなります。プロフォトのA1を使っているので1/8000まで対応できるので、表現の枠が広がります。RAWで撮影し、ライトルームCCで現像処理しました。円形マスクでの露出調整をしています。

屋外でのストロボ光の考え方

外光はとても強いです。曇っていても強いです。夜は背景に全く光が入らない状況になります。そんな中で、室内のように背景を暗くするためにはシャッタースピードを早くして、絞り値を大きくして黒っぽく写します。アンダーな露出状態です。そこに適当なちょうどいい光をストロボであててあげて被写体を写し込みます。通常のストロボなら、早くても同調するシャッタースピードは1/250くらいまででしょう。カメラによって異なります。ハイスピードシンクロ対応ストロボならもっと早いシャッタースピードでも、先幕と後幕が作るスリットが移動している間中、ストロボを連続発光してくれます。その分バッテリーの持ちも悪くなります。その時、リチウム充電池を使うプロフォトのA1あたりのストロボはとても重宝します。

投稿者プロフィール

奥本 光城
奥本 光城株式会社フォトサリュ代表
写真好きカメラ業界経験30年。カメラ店勤務からグリラーメーカー、そして国産ストロボメーカー、アルバム製造機材販売専門商社を経て、株式会社フォトサリュを設立。ネット活用を映像と想像力で構築し生成AiやNFT制作、動画編集にも着手。様々な方法を融合して個人のブランディングをお手伝いいたします。

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