投稿日:2022年11月6日 最終更新日:2023年9月20日 記事制作:奥本 光城
国産ストロボメーカの営業として、さまざまな講師の写真セミナーに機材提供メーカーとして参加してきました。美容師さんは写真が好きな方が多いです。お客様の写真や自分のコンテスト用の写真を記録するのが目的です。美容問屋さんの撮影セミナーも大人気でした。写真館的な写真とコマーシャル写真の違いから、どんな写真が自分らしいのか見つけてください。
写真の目的を明確にする
まず最初に、撮影する写真の目的を明確にすることが重要です。以下に、美容師が撮影する写真の主要な目的をいくつか列挙します。
- ポートフォリオ: 自分のスキルと経験を示すための写真。これは、新しいクライアントに対する自分の技術をアピールするためのもので、一貫性とプロフェッショナリズムを表現する必要があります。あなたがどのような種類の髪型や色、テクニックで優れた仕事をすることができるかを見せるべき写真です。照明やポーズを統一してお客様にわかりやすい写真を撮影します。
- ソーシャルメディア: フォロワーとのエンゲージメントを増やすための写真。これらはエンターテイメント性が高く、視覚的に魅力的でなければなりません。わかりやすくてインパクトのある構図が望まれます。撮影されたお客様がカッコいいなと感じる写真でなければなりません。ソーシャルメディアでの良い写真は、視覚的に魅力的で、フォロワーの注意を引き、エンゲージメントを促すものです。カラフルな背景、クリエイティブな角度、お客様の笑顔など、視覚的に興味深い要素を含めると良いでしょう。また、写真はブランドのパーソナリティと一致しているべきです。
- 広告やプロモーション: 特定のサービスや製品を宣伝するための写真。これらはその製品やサービスの利点を強調し、消費者に行動を促すべき写真です。店舗のイメージに合った雰囲気で統一感のある雰囲気での写真撮影が必要になります。広告やプロモーションの写真は、製品やサービスの特性を強調し、視覚的に訴えるものでなければなりません。これらの写真は、製品やサービスを最良の光で見せ、消費者にそれを試してみたいと思わせるべきです。明確なメッセージと、鮮やかな色彩、魅力的なライティングで製品やサービスを強調します。
倫理とプライバシー
写真撮影と共有には、倫理的な考慮事項とプライバシーの問題が関わってきます。お客様の写真を撮影する前に、必ず許可を得るようにしてください。また、写真を公開する前に、再度許可を得ることも忘れないでください。
かっこいい写真を撮る為に必要なこと
ポートフォリオのかっこいい写真は、撮影する角度や大きさが決まっていて髪型の差が顕著にわかる写真です。ソーシャルメディア用の写真はファッション写真の奇抜さまでは行かないまでも、時代を表現することが必要になります。その髪型を身にまとったお客様の内面を効果的に表現した写真を撮影します。広告やプロモーション用はそのお客さまの個性表現にお店のポリシーや思いを載せた写真にします。これらの写真を撮り分けること、編集する能力が必要です。
それらを費用減するための写真の要素は、大きく分けると三つの位置関係を理解することです。
被写体
魅力ある被写体、あるいは魅力を引き出します。美容室ならモデルさんのメイクや髪型です。
実際の見た目と、ファインダーの中の写り具合に差があることを認識します。
平面上で形や色を表現する場合には、ちょっと見た目より大袈裟に表現することが必要になります。
背景
写真内で目線を誘導することが、写真に物語を作ることです。
また、背景の色が主人公の心理状態を表していると感じる受け手もいるでしょう。
レンブラント絵画では、背景に飾ってある絵画や人物が被写体をドラマティックに魅せてくれます。
カメラ
カメラは暗箱で、中に入ってくる光の量を絞りとシャッタースピードで調整します。
絞りは被写界深度(ピントが合っている範囲)とか、背景のボケ具合(ボケの形状や濃淡など)に影響します。
シャッタースピードは、像を止めたり、流れるように表現したりします。
撮像素子(昔はフィルムで現代はCMOSセンサー)の傾きで、像の形を微調整できます。
使用レンズ(レンズの設計、構成)や焦点距離、解放絞り値で写真のイメージが変わります。
便利な撮影シュミレーターソフトで下準備して図でスタッフ間共有が便利
次のような図があると便利です。
カメラのおおまかな位置と出力目安、そして出来上がりのイメージと俯瞰図。セットの変更も含めて目でみて確認ができるのがいいところです。
機材を購入して、モデルさんにメイクやカットを施してから撮影すると、もうそれは本番です。どんな状況でどんなライティングで撮影するのか、事前練習に役立つのが「set a light 3D」というドイツのソフトウエア会社が作っている写真撮影シュミレーションソフトを使うことです。金額は2種類あります。安い方のBasicタイプが一万円くらいで、高い方のフル機能使える方が2万円くらいと思っておくといいでしょう。今のところ日本語対応していませんが、基本的に英語でも感覚的に操作できます。その都度アップデートもあります。公式サイトはこちらです。ウインドウズかMacを選んでお試し15日間のダウンロードが可能です。モデルを選んでポーズや服装、メイクや表情までさまざまなコントロールができます。背景のセット小物としての家具やオブジェ。車や鏡もあります。その上でストロボ機材を配置して写真を撮影体験できます。ひとまず、無料ダウンロードで使ってみて安い方のベーシックで初めてみてから、ゆくゆくは高い方にバージョンアップすることも可能です。バージョンの違いとか、価格などについての記事はこちらでご覧いただけます。本文中の画像はこの「seta a light 3D Studio」を使用して記事を作成しています。購入時にはクーポンコードの入力でお得に購入してください。「KOJO-10」で10%割引になります!
写真館的ライティング
写真館さんは、ポートレートが中心です。数種類のバックスクリーンを使い分けて台紙に挟むやり方でお客様に価値提供します。ライティングはバックスクリーン用と人物用が必要です。メインライトやフィルライト、バックライトなどが天井面に取り付けられたレールで移動。床面にコードやスタンドがない状態で、撮影中のスクリーンの交換もスムーズです。ハレの写真をお宮参りから七五三、成人式、家族写真、シルバーフォトまで比較的静的なきちっとした型物の写真撮影をする場所です。
コマーシャルライティング
コマーシャルは商業活動用の写真撮影です。ライトも1灯からドラマティックな使い方が求められます。写真館のライティングはある程度撮影場所のライトが決まっている中での撮影ですが、コマーシャルのライティングはその都度その撮影環境内で使える機材を考えながら撮影をします。商品撮影から人物、建物までジャンルは多岐に渡ります。
美容師さんが撮る写真
それでは美容師さんがどんな写真を撮るべきなのかお話します。説明的写真か、イメージ的写真か、伝えたい内容で撮影方法を使い分けることが重要です。お店のお客様の写真をることを想定した場合2つの撮影方法があります。1つは説明的写真。本人はもとより、他の人が見ても髪型の特徴がよくわかる写真です。商品撮影に近い感覚で撮ります。形と質感、色表現にこだわります。2つ目はイメージの写真です。雑誌の一コマの様な背景と、そこに落ちる影。色フィルターをかけたイメージフォト。髪型のアップやアクセサリーなどこだわりの部分を切り取る写真も必要になります。数枚の写真を組み合わせてアルバムを作る様な作業です。写真や映像を組み合わせて映像作品を作るのもおすすめです。
美容問屋さんのフォトセミナーにも機材提供で立ち合わせていただきました。髪の毛を通常より変化多めにカットして、メイクも衣装も大げさに表現して撮影することで、2次元上の写真でその存在感を表現することが大切なようです。
なぜ写真を撮って宣伝広告するのか
写真はイメージを知ってもらうために重要です。安易にスマホで撮りがちですが、お店のホームページの写真の品質にはこだわるべきです。お客様の投稿ならしょうがありませんが、お店の公式ホームページに色がかぶっていたり、暗かったり、髪が黒くつぶれていたり、キャッチライト(黒目にハイライト)がなかったりすると、お客様の気持ちに無意識に悪影響を与えてしまいます。有料広告サイトに並んでいる写真をみると、まだまだ綺麗の需要はあると確信しています。サイトの運営については書いてあるサイトもご覧ください。【写真撮影とサイト構築】店舗経営のためのネット広告宣伝
必要機材とコストの概算
実際に撮影を始めるにあたり、必要な機材があります。
一眼レフカメラ
レンズ込みのフルサイズタイプで20万円くらいの予算感でどうでしょうか?
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記録素子の大きさがフルサイズタイプは
描写力とボケ味が優れています
写真の良し悪しは経験上カメラとレンズで決まります
昔ならフィルムとレンズと言いたいところですが
カメラがデジタルなのでほぼフィルムの様な感覚です
カメラ三脚
SLIK カーボン三脚 ライトカーボン E74 4段 ナットロック式 25mmパイプ径 3ウェイ雲台 クイックシュー式 108345 新品価格 |
髪型をとる場合
顔の向きとストロボの位置で
写りが全く異なります
なるべく固定して撮りたいのです
人の顔の位置と方向を固定しても
カメラ位置が変わると全部変わってしまいます
無線トリガーかホットシューアダプター
各種ストロボメーカーの専用無線トリガーを使ったり
下記の様なアダプターを持っているとさまざまなシーンで活用できます
ストロボメーカーの営業時代にはメーカーを問わず使うことが多かったです
(中には使えないカメラもあると思います・ご自身でご確認ください)
X接点の端子が本体に付いている場合は直接使用できますが
トラブル防止のため一個持っていてもいい商品だと思ってます
無線が混信して使えない場合もあり得ます
ストロボ本体
各社ストロボありますが
モノブロックタイプストロボ(発光部と電源部が一体化しているタイプ)だと
400W/Sがいいです
200W/Sとか300W/s(ワット・セカンド)とかありますが
400Wで行きましょう!
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RSタイプは受信機付きなので
発信機を買うと無線でシンクロできます
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アンテナが折れやすいので注意しましょう!
(折れても使えますけどケーブルが尖ってます)
アンブレラ
どのメーカーのアンブレラも使えます。
サイズとコストで決めましょう。
コメットは10mmのシャフトです。
7mmとかもあったりするのでストロボの下に付いている、
アンブレラホルダーを見て決めましょう。
ストロボスタンド
取り付け部の形状をよく確認して購入しましょう。
購入するストロボメーカーのものがいいでしょう。
ヨドバシカメラ新宿本店のカメラ館での購入がいいでしょう。
確認して購入できます。全て揃いそうです。
背景
店舗内に綺麗な壁紙があればそれでいいでしょうし、
紙バックを購入してスタンドに設置して背景にする方法もあります。
色々な商品があります。
自己責任でお選びください。
※ざっくりこの程度の機材が必要になります。
よく調べて購入してみてください。
安いストロボでもカメラの設定をすれば綺麗に撮れると思います。
耐用年数などが違ってくるかもしれませんが、検証はできてませんので、
自己責任にてご購入ください。
撮影方法
カメラの位置と傾きに注意
カメラアングルは重要です。
カメラと被写体とストロボの位置関係は以下の通りです。
正面で顎の高さぐらいでとったモノです。
この正面です。
証明写真なら左右の耳の写り方を考えてベストな位置になります。
正面した方向に移動しました。
顔の輪郭が変化しました。
顎のシャープさがなくなった感じがします。
下のまま、
左に動きました。
被写体に向かって左側の耳が大きく写り込みました。
顎のラインもすっきりしています。
カメラが右に移動しました。
髪の毛で隠れてはいますが向かって右側の耳が多く写る位置です。
髪型が綺麗に表現されています。
高さが上がって、
真ん中に戻りました。
ちょっと顎がすっきりです。
真ん中の高さで、
左にカメラが動きました。
顎のラインとか、
顔の左側の影の影響で、
ほっそりとした印象です。
そのままカメラを右に移動しました。
髪型と顎のラインが綺麗です。
真ん中上方にカメラが移動しました。
顎はほっそりしましたが、
目の中の黒目の位置と白眼のバランスがおかしくなりました。
そのまま、左に移動しました。
顎のラインがよりシャープになりました。
上方で右にカメラが移動しました。
表情によってはチャーミングな感じです。
髪型とモデルさんの輪郭や肉付きを考慮してアングルを決定するか、
後で選べる様に全てを数枚づつ撮影しておきましょう。
目つむりの可能性があるので、
事前にモデルさんに目を閉じたと思ったら教えてくださいと、
お願いもしておきたいです。
その上でちょっとした顔の筋肉の動きも見ながら、
表情を誘導してどんどん撮っておきます。
画像修正
画像修正が必要なのは全体のイメージに統一感を出すためです。明るい写真や暗い写真が混在するホームページは見辛いですし、SNSでの発信においても統一感があれば目立ちます。カラーリングの色合いや肌やメイクの色合いに注意しながら次の項目などを中心に調整します。
- 色調の調整:画像全体の色味やコントラストを調整する
- レタッチ:シミやくまなどの皮膚の瑕疵を修正する
- 明るさ/暗さの調整:画像の明るさを加減する
- ノイズの除去:画像のざらつきをなめらかにする
- シャープネス:シャープさやピントの調整をする
- 形状の修正:体型や顔のパーツを修正する
- 背景の修正:不要な背景を消したり変更したりする
- テキストの追加:画像にタイトルや説明文を追加する
- トリミング:画像を切り取って構図を改善する
- 効果の追加:フィルターを使って画像効果をつける
- 圧縮:データサイズを小さくする
綺麗な写真撮影のための重要事項
色温度の意識を持つ
カメラの色温度設定と実際の撮影環境の色温度の差で
暖色系や寒色系を作り出すことができますが
フォトショップみたいなソフトを使うと
後処理で色や写りはどうにでもなります
撮影の現場ではライティングや表情に気を使いながら
アングルをうまく使って魅力的な写真を撮りましょう
シャッタースピードと絞りの関係を知る
業務用ストロボでの撮影時は
カメラはマニュアル設定にします
初期設定として
ISOを100にして
シャッタースピードを1/60にして
絞りF11くらいから始めましょう
ストロボなしでシャッターを切ると
うっすらと画像が写る程度になります
環境光が与える影響を確認します
頭上に蛍光灯が2本で
こんな感じならOKとします。
厳密にいうと、この色被りをずっとすることになります。
室内灯を消すか、絞りの値を上げてストロボの光量を上げて撮るなどの対処も必要に応じて行います。
ストロボのスイッチを入れて撮ってみます
400W/Sで次の写真の様に明るく写りました
女性の写真は明るめがいい場合もありますが
髪色の見本ということも考えるともう少し光量を落として撮影したいので
1/1(フルパワー)から1/2(その半分:一絞り分ダウン)にて次は撮影します
400W/Sの1/2で200W/S相当です
400W/Sを選んでいればこんな使い方もできますが
元々安い200W/Sを使っている場合には
調整つまみでの調整でなく
ストロボの位置を変更して調整することになります
絞りとピントが合う範囲(被写界深度)の関係を把握する
絞りを開ける(少ない数にする)と
ピントが合う範囲が狭くなります
お店での撮影で背景をぼかして撮影する場合はストロボを弱くあてて
絞り値を開けて背景をぼかします
気を付けなければならないのは
絞りを開けると
環境光の影響を受けること
ストロボなしでも写ってしまうので
もしも室内の電灯が切れるなら切った方が良いでしょう
まあ、実際には他にもお客様がいらっしゃるでしょうから
そのままで撮影することになります
ちょっと背景が色被りしています
もしも電灯が切れるなら出来上がりは下の様になります
set a light 3Dでシュミレーションするなら特別クーポンコードの入力
まず1灯でこれだけの写真が撮れるのです
発泡スチロールの様なレフ板を使ったりもします
撮影は楽しいのです
もしも
シュミレーターで撮影の勉強がしたいなら
ここまでご覧いただき、ありがとうございます。特別割引コード「KOJO-10」を入力すると割引になります。
ぜひご利用ください。最近日本語対応しました。
写真撮影シュミレーターで勉強するなら、set a light 3Dが便利です。
楽しみましょう。
投稿者プロフィール
- 写真好きカメラ業界経験30年。カメラ店勤務からグリラーメーカー、そして国産ストロボメーカー、アルバム製造機材販売専門商社を経て、株式会社フォトサリュを設立。ネット活用を映像と想像力で構築し生成AiやNFT制作、動画編集にも着手。様々な方法を融合して個人のブランディングをお手伝いいたします。