投稿日:2023年3月15日 最終更新日:2023年8月29日 記事制作:奥本 光城
フラッシュライティングについて考えると、どうライトを向けるかの話だと思うのですが向けないこともライティングです。
今回は、向けないライティングを特集します。シュミレーターの画像と実際の撮影で解説します。
使っているシュミレーターはset a light 3Dです。
バウンスライティング:効果
バウンスとは跳ね返ったり、跳ねたりする状態を表す言葉です。
光の跳ね返りを使ったライティング、バウンスライティングは実は多用されています。
ダイレクトに当てているような硬い光でも、光を強くするために発光管の周りに反射板が付いています。
そして、リフレクターやアンブレラ、ソフトボックスの中でも、四方八方に照射された光が反射しています。
近いところで反射させると光の方向を変えます。遠いところで反射させれば発光面を広くすることができます。
一般的には発光面を広くして、回り込む光を利用した柔らかい光を作ることをバウンスライティングと呼びます。
室内なら色の付いていない壁や天井、室外なら携帯用のレフ板やアンブレラに反射させます。
<右の壁にバウンスさせています>その分出力が必要です。足りない場合はカメラの感度を上げたり、絞りを開いて対応します。
リフレクターをつけたライトを被写体にに向けてライティングすると影がくっきり出ます。
<シュミレーター画像>
実はリフレクターを外すと、横とか後ろとかに証左された光が回り込むことで結果的に柔らかい影の写真が撮れると思っていました。
しかしシュミレーターでも、実際の撮影でも、リフレクターをつけているよりも硬くなりました。
シュミレーターが本当によくできていることが証明された感じです。
光がリフレクターで全面にだけ照射されないので、1/3段〜1/2段光量が落ちていることも的確に計算されて再現されています。
<シュミレーター画像>
実際に撮影してみました。
<直径11cmリフレクター:馬蹄形発光管ヘッドにガラスグローブあり>
<直径リフレクターなし:馬蹄形発光管ヘッドにガラスグローブあり>
直接灯具を向けると出る影をなるべく目立た無い様にするには、どこかに光をあててその光の反射を使います。
天井にあてる天井バウンスも簡単にできるバウンスライティングです。
<シュミレーター画像>
バウンスライティング:種類
リフレクター外
アンブレラ
壁に色がついていたり、壁が遠かったりしてバウンス光が使えない時、アンブレラを使います。
プロ的に考えるなら、撮影環境によって出来上がり写真の品質が変化しないようにアンブレラを使います。
アンブレラというと思い出す話があります。
私自身アンブレラの光はとても好きですが、結婚式場などで晴れの写真を撮るシーンでちっちゃな子が写真室で雨漏りしていると勘違いした話を思い出します。
ストロボメーカーの先輩に聞いた話ですから、ソフトボックスを売るセールストークかもしれませんが、ちょっとそれらしい笑えるストーリーです。
壁、天井、床
アンブレラを付けて反対側に照射して、部屋を回ってきた光で写真を撮ります。光が弱くなるので絞りを調整します。
被写体と全く逆の方向に光を照射したり、壁や床に反射させることで柔らかい光を作ります。
どの場合でも、ストロボの光量が必要です。足りない場合はカメラのISO感度設定やF値(絞り)の調整が必要です。
背景
背景に反射して洋服の白いところに影響することがあります。反射は入射角度でその逆側に反射します。
被写体
複数の被写体を同時に撮影する場合に、反射の影響を考える必要があります。
リフレクター内
リフレクターの中での反射のことを内面反射といいます。
ただのおわんのように見えるその内側の形状や、反射板、おわん自体の形状で独自の表現をします。
例えば
<直径18cmリフレクター:馬蹄形発光管ヘッドにガラスグローブあり>:実写
<直径23cmリフレクター:馬蹄形発光管ヘッドにガラスグローブあり>:実写
リフレクターが大きくなると、影の芯がどんどん細くなります。影のにじみ方も変わります。
出力変更やカメラ設定を変えないで撮影しているので、リフレクターが大きくなって光が集光しています。
どちらがいいとか悪いとかではなく、表現の違いとして傾向を覚えておいて生かしましょう。
影が影の形として綺麗で好きなのは、18cmリフの写真ですが、被写体と背景との距離やストロボまでの距離で変化します。
バウンスライティング:シーン
赤ちゃんの撮影
つぶらな瞳を傷つけたくなくて、天井バウンスをよく使いました。
天井バウンスをするなら、しっかりと天井に照射しましょう。
中途半端な場合、汚い感じのグラデーションができてしまいます。
雰囲気の描写:定常光とのミックス
居酒屋やジャズホールなど環境光がかっこいい場所の場合、バウンス光の利用が効果的です。
ダイレクトにストロボをあてるより、バウンス光を使ってシャッタスピードを手ブレしない程度に遅くします。
暖色系のライトの光や、青っぽい光などはストロボ光を強くあてると表現できません。
バウンスライティングが苦手なシーン
ガラスやメガネの反射が撮影に悪影響を与える場合、反射面が大きくなるバウンスライティングは適しません。
メガネの反射も大きくなり全く黒目が見えない状況になります。
集合写真で適している発光部の形状は直管で、不織布のディフューザー付きです。
結婚式場やホテルなどで撮影する場所の背面に大きなガラスがある場合には、発光面が小さい方が反射も小さくすみます。
set a light 3D V2.5が素晴らしいことを再確認できた事実
自分の感覚を確かめるために実際に撮影して紹介しました。
リフありとリフ無しの結果を間違えた感覚で持っていました。
しかし結果的にシュミレーションも実写も同じ結果になり、認識訂正することができました。
ソフトを使ってシュミレーションすると、その結果やテストライティングを記録しておくことができます。
機材を購入する前に結果をしってから、購入できます。もちろん使用条件での変化もありますら、100%ではありませんが十分に範囲内でしょう。
撮影シチュエーション説明用画像です。こういった画像を残せることがこのソフトのいいところです。
<直径18cmリフレクター:馬蹄形発光管ヘッドにガラスグローブあり>:シュミレーション画像
<直径23cmリフレクター:馬蹄形発光管ヘッドにガラスグローブあり>:シュミレーション画像
影の芯の消えてしまった場所があります。そして光量も増えて明るくなってます。
実写に本当に近い感覚です。
<リフレクターなし:馬蹄形発光管ヘッドにガラスグローブあり>:シュミレーション画像
そしてリフレクターなしで、影が濃くなり全体の露出(明るさ)が少し暗くなりました。
これも実写の通りです。
そんなset a light 3Dの2つのバージョンや、その時の価格など情報を更新しているサイトもご覧ください。
投稿者プロフィール
- 写真好きカメラ業界経験30年。カメラ店勤務からグリラーメーカー、そして国産ストロボメーカー、アルバム製造機材販売専門商社を経て、株式会社フォトサリュを設立。ネット活用を映像と想像力で構築し生成AiやNFT制作、動画編集にも着手。様々な方法を融合して個人のブランディングをお手伝いいたします。