投稿日:2023年8月4日 最終更新日:2023年8月4日 記事制作:奥本 光城
花火の撮影は事前準備と、当日の撮影をどれだけスムーズに行うかが重要です。そして様々な工夫ができる撮影です。花火撮影を楽しむための準備を機材関係と知っておきたい撮影テクニックに分けてお伝えします。
花火撮影のための7つのツール
カメラ関連の商品はそれぞれとても高価です。自分のできる範囲で揃えていきましょう。その際に全体像を押さえておくと、購入しやすくなります。また、工夫次第で代用できるものもあるかもしれません。下の表は花火撮影の必需品7つをまとめたものです。
カメラ | Bulb(バルブ)といってシャッターが開きっぱなしになる設定のあるカメラで撮影します。 |
三脚 | アルミでもカーボンでも構いません。 地面が軟弱でもしっかり固定できるもの。 |
レリーズ・リモコン | シャッターを直接押すとブレてしまいます。 また、シャッターを閉じる時も必要です。 |
黒い遮光板 | 持っていくレンズを完全にカバーできる大きさの黒いボードで撮る花火を決定します。不必要な光を遮る目的があります。 |
メモリー | 撮影時は長時間露光なので、撮影後の記録も時間がかかる場合があります。私は少しでも記録スピードの早いものを選んでいます。 (カメラメーカーのノイズリダクションとかの機能によります) |
フード | レンズの純正品は必須。レンズの画角に注意できるなら自作、あるいは市販品でしっかりしたもの。(当日はくらいので明るい状況で確認しておきましょう) |
フィルター | イマジネーションを変化させるならカラーフィルターの使用もありです。また、クロススクリーンやフォギーなどの特殊効果用のフィルター利用もできます。 |
カメラのセッティング
1.撮影記録モードはRawで後で現像処理するのがベストな選択
カメラメーカー製のソフトやPhotoshopのような専用ソフトを使って現像することで、後から調整することができます。また、記録画像の情報量の観点からもRawを強くお勧めします。
2.カメラのモードはM(マニュアル)シャッタースピードをBulb(バルブ)に設定
レリーズでシャッターの開閉ができることは事前確認が必要です。意外と操作に迷ってくらい会場で焦ることがあります。またリモコンレリーズなら、本体のモードをリモコンモードに変更する必要がある場合もあります。事前チェックが不可欠です。
3.絞りはF5.6〜8 ISO200位〜上げすぎない
ISO感度を上げると短い時間で撮影に必要な光の条件を満たしてしますので、たくさんの花火を写し込むことができなくなります。また、感度を上げると画質が低下します。画質の低下を作風にする場合以外なら、低感度側で使うと綺麗な写真になります。
4.画角のセッティング
少しでも明るい環境で画角をチェックしておきましょう。特に周りに大きな木や建物、仮設のトイレなどがある場合は注意が必要です。
5.オートフォーカスを切ってマニュアルにする
花火にはオートフォーカスは切っておきましょう。遮光版を前にかざしての撮影です。
6.遮光版やレリーズ、フィルターの準備
撮影時にはレリーズと遮光版が必需品です。また、撮影が進むと、ちょっと違ったバリエーションでの撮影もしたくなるものです。わかりやすいところに準備しておきましょう。
7.撮影後はすぐにカメラを持って撤収できるように準備
花火がクライマックスを迎えたら、もうそれは撤収の準備も頭に考えておきましょう。終わった瞬間、全ての観覧車が一斉に動き出します。そもそも暗闇で固いカメラや三脚は危険です。足をたたんでかついで人のいないところまで一連の流れで移動できるようにしておきましょう。
撮影本番前
プログラムやネットの情報をもとに想像力を膨らます。
花火は打ち上げの光とその光跡、弾けた瞬間とその余韻など変化します。
薄暮なら空の写り込みもあるでしょうが、
くらい空ならそのキャンバスに花火の絵を描く作業です。
同じところにたくさん花火を写し込むと、白い方向にどんどん進むので、
シャッターは開いたまま、遮光版を入れたり、外したりして調整します。
そんな状況を想像して、本番に備えます。
その場所にしかない光景も含めることで臨場感も演出できます。
ときには前にいる人々の後ろ姿をシルエットとして花火撮影するシーンもあります。
飛行機や鳥、雲や月など、いろんなところに目を向けて撮影できるような妄想、想像が大切です。
撮影本番
1.画角の最終チェックをして始まるのを待つ
2.撮影が始まったらどのタイミングでレリーズでシャッターを開くか考える
3.まずはレンズ前に遮光版をかざす
4.思い切ってレリーズでシャッターを開ける(撮影開始)
5.光が早くて次に音がくることを考えながら遮光版を外す
6.声に出して遮光版を外している時間を測る
7.何発か撮影したら遮光版をレンズの前にかざし、レリーズを使ってシャッターを閉じる
8.遮光版の開閉と撮影時間をずらしながら撮影し続ける
よりクリエイティブにする為に撮影中にできること
撮影中にピントリングを回してわざとぼかす | ソフトフォーカス的な柔らかい描写が反映される |
ズームしてみる | 画面の中心に向かって光跡が現れる |
絞りを変えてみる | ピントのシャープさが微妙に変化する |
ISO感度を変えてみる | 空の写り込みや花火の明るさが変化する |
カメラの感度を上げると画質は低下します。でも、短い時間で撮影できて多くの光をひろいます。
撤収
花火大会の壮大なファイナルが終わると人が急激に移動し始めます。三脚の取り扱いには気を付けてください。惜しまれるような花火の残像。お疲れ様でした。落とし物に気を付けて、そして現像処理を楽しみに帰路につきましょう。
投稿者プロフィール
- 写真好きカメラ業界経験30年。カメラ店勤務からグリラーメーカー、そして国産ストロボメーカー、アルバム製造機材販売専門商社を経て、株式会社フォトサリュを設立。ネット活用を映像と想像力で構築し生成AiやNFT制作、動画編集にも着手。様々な方法を融合して個人のブランディングをお手伝いいたします。