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初めてのストロボ撮影:飲食店のためのガイド

投稿日:2023年8月31日 最終更新日:2023年10月10日 記事制作:奥本 光城

1. はじめに

飲食店経営者の皆さん、こんにちは。今日は初めて業務用ストロボを使う方向けに、飲食店の商品撮影について詳しく解説します。ストロボの使い方、カメラの設定、光の調整についてなど、一歩ずつ解説していきましょう。これを読めば、美味しそうな料理の写真を撮る自信がもてます。

2. カメラの設定

まずはカメラの基本設定から始めましょう。ISO、シャッタースピード、F値(絞り)の三つは写真撮影の三大要素です。ISOは感光度を、シャッタースピードは露光時間を、F値は光の量を制御します。これらの設定次第で、写真の明るさや被写界深度(ピントが合っている範囲)が変わります。

  • ISO:ストロボを使う場合、ISOは通常100〜200の範囲で設定します。これは、ストロボが十分な光を提供するため、カメラの感光度を上げる必要が少ないからです。また、感度を上げるとその場所の環境光の影響が出やすくなるので避けましょう。
  • シャッタースピード:ストロボとカメラを同期させるためには、一般的にシャッタースピードは1/60秒または1/125秒に設定します。これを「フラッシュ同期速度」と呼びます。
  • F値(絞り):F値は被写界深度と明るさを制御します。低いF値(例:F1.8)であればあるほど、被写体と背景とのボケ具合が強くなり、高いF値(例:F16)では全体が鮮明に見えます。ストロボ撮影の場合の基準となるF値は11です。ストロボメーターで各ストロボの強さを測ってカメラの露出でF11を目指すのです。ストロボなしで撮影してみて、真っ黒な状態。写っていない状態に光、ハイライトを入れていく絵を描くような作業をライティングと呼ぶのです。

ストロボなしで撮影してこれだけ像が出てくるとちょっと警戒します。強いストロボ光とミックスされて最終的に色調となります。厳密には環境光を弱くするか消すかといった対策になるでしょうが、全体の色温度をプリセットホワイトバランスで調整して調整しても大丈夫です。

3. ストロボの位置

ストロボの位置は写真の見た目に大きく影響します。いくつか基本的なポジションを紹介します:

  • フロントライティング:カメラと同じ方向から光を当てる方式です。被写体のシャドウが背面に落ち、全体が均一に明るくなります。
  • サイドライティング:被写体の横から光を当てると、立体感とテクスチャーが強調されます。料理写真では特に人気のあるライティング方法です。
  • バックライティング:被写体の背後から光を当てると、逆光効果で被写体を引き立たせることができます。透明感のある料理や、スチーム(湯気)を強調するときに効果的です。

<フロントライティング>

<サイドライティング>

<バックライティング>

料理の撮影の場合、バックライティングが好まれる傾向があります。そしてサイドか上方にベースとなるフィルライト(影をのコントロールと発色をよくする)があるとより綺麗に写すことができます。

様々なジャンルの食材の写真があって勉強になります。背景が重要な点とか、美味しそうなカットをどう表現しているのか大変参考になります。写真を見ることで勉強します。DELISH MALLはとても参考になります。他にも色意図なサイトがあります。実際にたくさん見て、判断するといいと思います。個別でいい写真、悪い写真といえないので、いくつかサイトを紹介しておきます。ぜひ、いろんなサイトを訪問して美味しそうな写真と、そうでない写真に触れてください。

シーキューブ(C3) 公式通販|洋菓子シュゼットの通販サイト

お芋のチーズケーキ【Aman Potato】

endoオンラインショップ

色は暖色系で美味しいと思える色に調整する必要があります。サイトによっては美味しくなさそうな写真が使われている場合もあります。妥協することなく、美味しそうな写真をお客様に提供しないと結果がなかなか良い方向に向きません。

4. ストロボのアクセサリー

ストロボのアクセサリーにはソフトボックス、アンブレラ(傘)、リフレクターなどがあります。これらは光の散乱度と方向性をコントロールするためのものです。

  • リフレクター:光を反射させて被写体に戻すアクセサリーです。例えば、ストロボからの光をリフレクターで反射させて被写体の影を緩和するといった使い方があります。基本的には固くて強い光ですが、発色は綺麗です。
  • アンブレラ(傘):反射型と透過型の2種類があります。反射型はストロボの光を反射させて広範囲に光を散らすのに対して、透過型はストロボの光を傘を通して柔らかくします。柔らかさを求めながら硬いという、メリハリの効いた撮影が可能です。
  • ソフトボックス:光を柔らかく広げるアクセサリーです。被写体に直接ストロボを当てるとハードな影が出るのを防ぎます。大きいソフトボックスを使用すれば、より広範囲に柔らかな光を提供できます。雨天時の撮影のように影の出にくい柔らかい光ですが、発色性が若干劣ります。ソフトボックスの中心部には光の芯(強くて硬い光)があります。その芯の向け方で表現できる写真のバリエーションが広がります。
  • ディフューザー:アームに透過性のある紙(トレーシングペーパーや不織布など)を取り付けて被写体とストロボの間において、その透過光で写真を撮る方法です。リフレクターの光や、アンブレラを使った光を使います。特にアンブレラの場合に、「カサトレ」といって重宝される表現力のある綺麗な光を作り出すことができます。

<リフレクター>

<アンブレラ>

<ソフトボックス>

5. 光量と色温度の設定

ストロボの光量は通常、ストロボ本体にある調光ボタンやつまみを回して調整します。同時に被写体からの距離を変えることでも変化します。ストロボの光量は照射面積で変化するので距離の二乗分の一で弱くなります。強い光をあてるほど被写体は明るくなりますが、過度に明るくすると被写体が白く飛んでしまうので注意が必要です。デジタルデーターの場合、白く飛んでしまうとそこにデーターがないばかりか偽色が現れる場合があります。また、ストロボの光量とカメラのF値は密接に関連しています。

色温度は光源の「色」を表す単位で、ケルビン(K)という単位で表されます。ストロボの色温度は通常5500K~6000Kの範囲ですが、アクセサリーの利用状況で変化します。特にソフトボックスの内側が経年劣化で黄色く変色することが多いの中止が必要です。色温度を上げるためのブルーのフィルターを短冊状にカットして光源にかぶせる調整方もあります。昼間の自然光に近い色温度ではありますが、カラーチャートの撮影でホワイトバランスをしっかりと調整するとより綺麗な写真が撮影できます。カメラのホワイトバランス設定をプリセットで毎回測ることをお勧めします。出張撮影などでは特に、壁紙や環境光の影響があるからです。

6. ストロボメーターによる光量計測と光量調節

ストロボメーター(フラッシュメーター)は、ストロボの光量を計測するためのツールです。光量計測により、適正な露出設定をカメラに行うことが可能となります。ここでは、ストロボメーターを使用して光量を計測し、ストロボの光量を調節する基本的なステップを説明します。

  1. ストロボメーターの設定:まず、ストロボメーターのISO設定をカメラのISO設定と同じにします。次に、シャッタースピードをカメラと同じに設定します。一般的にはISO感度100、シャッタースピードを1/60にします。
  2. 光量の計測:ストロボメーターを被写体の位置に持っていき、被写体とカメラの間を向くようにします。その後、ストロボを発光させ、光量を計測します。ストロボメーターにシンクロコードを差し込んで測定ボタンを押すモードと、フラッシュが光った時に測光するノンコード・モードがあります。切り替えを確認して適切に測定してください。
  3. 露出値の取得と調整:計測された光量に基づいて、ストロボメーターは適正な絞り値(F値)を示します。この絞り値をカメラに設定すれば、被写体に対する適正な露出が得られます。1灯ならカメラと同じF値、F11を目指してストロボの光量で調整するか、位置で調整します。また、2灯以上なら全て合わせてF11を目指します。光はどんどん足されていきます。メイン光をF5.6〜F8、フィルライトをF2.8〜F4あたりで調整して足すとF11になるといった感じです。
  4. カメラ側での微調整:絞り値をカメラに設定した後、写真が明るすぎる、または暗すぎると感じた場合は、カメラの絞り値で微調整します。絞りを開けるとと写真が明るくなり、絞りを閉じると写真が暗くなります。絞りによる被写界深度の違いが気になるなら、ISO感度を上げる方法もありますが、環境光の影響に注意を払う必要もあります。環境光の確認方法は、ストロボを光らせないでシャッターを切り、写り具合を見ることです。室内光で薄暗いながらに色被りをしているのが確認できるのです。
  5. 目的の達成度を再確認:被写体の魅力を引き出すライティングになっていることを最終確認します。一度設定したライティングで全ての料理を撮ることをお勧めします。料理の位置をパーマセルテープなどで目標しておきます。カメラの高さや角度も変えない方がいいでしょう。最終的に使う場面の写真の構成時に、傾きや拡大を考えると少し画角の広いカットと皿ギリギリのカットと2種類の撮影をしたいところです。これは広告全体のデザインとしてお店の意向を大切にします。

7. 撮影時の湯気や質感の表現

料理の湯気は、バックライティングで効果的に捉えることができます。ストロボを被写体の背後に配置し、湯気に逆光を当てると、湯気が白く浮き出て見えます。

質感の表現には、サイドライティングが有効です。光が被写体の表面をなぞることで、食材のテクスチャーや料理の形状を強調できます。例えば、ステーキの表面の焼き色やパスタの滑らかな表面など、料理の魅力を引き立てることができます。

また、光の方向を少し変えるだけで、料理の見え方が大きく変わります。光の角度を変えて、料理に生じる影の長さや方向を調整し、最も美味しそうに見える角度を見つけましょう。

8. 画像レタッチ時の修正方法

撮影後の画像編集も、料理写真の仕上がりを大きく左右します。ここでは、Adobe LightroomやPhotoshopなどのソフトウェアを使用して画像を編集する基本的な方法をいくつか紹介します。

  • 露出の調整:全体的に明るすぎる、または暗すぎる場合は、露出を調整します。ただし、ほとんどの情報が失われてしまった「白トビ」や「黒つぶれ」は、後から修正することは難しいので撮影時の注意が必要です。
  • ホワイトバランス:色温度が適切でないと感じる場合は、ホワイトバランスを調整します。例えば、写真全体が青みがかっている場合は色温度を上げ(暖かくする)、逆に黄色っぽい場合は色温度を下げ(冷やす)ます。
  • コントラストと彩度:コントラストを上げると、明暗の差がはっきりし、写真に深みが出ます。しかし、実際のレタッチでは暗部の持ち上げやハイライトの押さえなど個別で行うので、コントラストは変化させないです。また、彩度を上げると色が鮮やかになりますが、過度に上げると自然さを失ってしまうので注意が必要です。不自然な写真では料理の魅力が伝わりません。
  • シャープネス:画像がぼやけている場合は、シャープネスを上げることで解像度を高めることができます。ただし、過度にシャープネスを上げると、画像が硬くなってしまうので、適度なバランスを保つことが大切です。

9. まとめ

以上、飲食店のための業務用ストロボを使った撮影についての初心者向けガイドをご紹介しました。カメラの設定からストロボの位置、アクセサリーの種類、光量と色温度の設定、露出計測、撮影時の湯気や質感の表現、画像レタッチ時の修正方法まで、様々なポイントをカバーしました。

これらの基本を押さえつつ、自分の撮りたいイメージに合わせて設定を調整していくことで、きっと素晴らしい料理写真が撮れるようになるでしょう。撮影は試行錯誤の連続です。何度も練習を重ねて、自分だけの最高の一枚を目指してください。

投稿者プロフィール

奥本 光城
奥本 光城株式会社フォトサリュ代表
写真好きカメラ業界経験30年。カメラ店勤務からグリラーメーカー、そして国産ストロボメーカー、アルバム製造機材販売専門商社を経て、株式会社フォトサリュを設立。ネット活用を映像と想像力で構築し生成AiやNFT制作、動画編集にも着手。様々な方法を融合して個人のブランディングをお手伝いいたします。

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